新しい働き方

南国興産株式会社

2021/02/24

昭和48年創業の南国興産は、畜産副産物を飼料や肥料などの資源として再生する循環型事業に取り組んでいる会社です。
3年前に農業へ参入し、現在はアスパラガスとニラの栽培を行っている農業生産室の森元圭一郎さんと甲斐俊二さんにお話しを伺いました。
1.品目の組合せによる年間作業の平準化
2.分業化&機械化による作業効率向上
3.マニュアルによる作業レベルの平準化
4.休みやすい環境づくり

農業部門の立ち上げについて聞かせてください

(森元さん)「地域農業の発展に貢献する」という企業理念と、肥料メーカーとして自社肥料の付加価値を追求したいという気持ちで農業部門を立ち上げました。ただ、自分も甲斐も含め、企業自体が農業初心者ですので本当に出来るのかなという不安はありました(笑)
白紙からのスタートでしたので、1年目は計画や調査に費やし、2年目に甲斐が福岡にアスパラガス栽培の研修に行き、自分は土地探しを担当し、3年目にようやく農業生産を開始しました。


農業高校出身の新入社員に指導する甲斐さん

アスパラとニラを選んだ理由は?

(甲斐さん)福岡にアスパラガス栽培の名人級の方がいて、弊社の肥料を愛用して頂いており技術協力が得られることや、水と肥料が大好きな作物なので、自社肥料のPRにも繋がるということからアスパラガスに決定しました。
そして、年間の作業を平準化する目的で、アスパラガスの空き期間に収穫できる作物としてニラを選定しました。
両方とも比較的価格が崩れにくいということも理由の1つです。


「自社肥料の効果を実感できるアスパラガスを作物に選びました」と甲斐さん

従業員さんが働くうえで工夫されていることはありますか?

(甲斐さん)分業化により作業効率を上げることを目的に収穫を社員が担当し、出荷までの作業をパートさんにお願いしています。
工程ごとにマニュアル表を作ってパートさんが迷わない工夫をしています。
例えばアスパラガスの選別作業では、穂先の細かな状態を識別する必要がありますが、写真を使った規格表を壁に貼るようにしました。
以前は口頭で伝えていたのでなかなか伝わらなかったことが、「見える化」することで作業品質が向上しました。また1日ごとに目標値を設定し、シンプルな
作業の中にも達成感を味わってもらうことが大切かなと思っています。

(森元さん)パートさんの負担を軽減するため、機械の導入も積極的に行っています。ニラは収穫した後「そぐり」と言われる外葉を取る作業に手間がかかります。これまでは全て手作業でやっていましたが、今年度、大型の機械を導入し、洗浄や「そぐり」を自動化したことで作業効率が一気に上がり、パートさんのモチベーション向上にもつながりました。


ニラの外葉を取る「そぐり機」の導入で作業効率が大幅に拡大しました。

勤務時間やお休みについて

(甲斐さん)パートさんは基本的に週4日勤務です。子育て中の方もいらっしゃいますが、子どもさんの病気や学校行事などでも気にせず休める環境を提供できる
よう配慮をしています。

(森元さん)マニュアル化や機械化で、仕事を平準化することでいつ誰が休んでも皆でカバーができるようにしています。アスパラとニラの組合せで毎月の作業量が平準化でき、パートさんの安定した雇用につながっていることもあります。
昨年、農業高校を卒業した新入社員も加わりました。
若手を育てていくためにも「新しい農業の働き方」を今後も確立させていきたいと考えています。


アスパラガスの選別用の規格表を壁に貼り、パートさんが悩まない工夫をしています。

これからの展望

(甲斐さん)普及センターの紹介で去年からアスパラ就農希望者の研修を受け入れています。僕がアスパラ栽培を教わった師匠は、アスパラに興味を持った若者達を指導し、福岡に100人以上の活気あるアスパラ産地を作り上げています。
僕たちも都城でアスパラに興味を持った人達を支援することで輪を広げいき、「アスパラ王国」を作ることで都城の農業の発展にも寄与していければと考えています。

(森元さん)今後、栽培面積を4~5倍に拡大していきたいと考えています。それには従業員が働きやすい環境が作れなければ、絶対に成しえないと思っていますので、そういう意識で今後も環境づくりに力を入れていきたいと思います。


森元さん(左)、甲斐さん(右)

南国興産株式会社
宮崎県都城市高城町有水1941番地
TEL:0986-53-1041

従業員数:6名(社員3名、パート3名)※農業部門のみ

農業部門栽培面積:
【アスパラガス】ハウス22a
【ニラ】ハウス25a、露地20a