外国人材

合同会社 田野大根×(一社)宮崎県農業法人経営者協会

2025/03/31
取組事例レポート

合同会社 田野大根×(一社)宮崎県農業法人経営者協会

合同会社 田野大根×(一社)宮崎県農業法人経営者協会
宮崎と嬬恋の「産地間人財リレー」で通年雇用を確保。2拠点の労働力不足解消の取り組み。
産地間人財リレー

繁閑期の異なる他産地との連携によりリレー雇用を行い、繁忙期における労働力不足解消を目的として、(一社)宮崎県農業法人経営者協会と嬬恋キャベツ振興事業協同組合(群馬県)、(株)ウィルテック(大阪市、人材派遣サービス会社)との3者で「産地間人財リレーに関する連携協定」を締結。日本語学校で教育を受けた外国人材を産地間で連携して受入れ、通年で安定した仕事量を確保する取り組みを行っています。

合同会社田野大根では2023年12月から産地間人財リレーの受入れを開始し、今夏にはミャンマーからの実習生2名の人材リレーを行っています。
宮崎県農業法人経営者協会の長友宏諭さん、合同会社田野大根の代表の川越俊秀さん、長男の川越達也さんと長女の(株)KIAの井出明子社長さんにお話しをお伺いしました。

合同会社田野大根について教えてください

合同会社田野大根は田野町を中心に多角的経営で農地規模を拡大している。

田野町名産の大根を中心に、甘藷や日向夏、高菜、らっきょうなどの生産を幅広く行っています。畑は露地もビニールハウスも両方あり、苗の植え付けや追肥や収穫作業、など1年を通して様々な作業があります。
また自社工場では日向夏の箱詰めや高菜や大根の塩漬け作業も行っています。8年前にベトナムからからの技能実習生を受け入れたのが始まりで、産地間人財リレーでミャンマーの特定技能人材が加わりました。みんな真面目によく働いてくれて貴重な戦力となっています。

嬬恋村との産地間人財リレーに取組んだきっかけは?

合同会社田野大根の川越達也さん

外国人材は以前からいるベトナムの子が5名、産地間人財リレーで来たミャンマーの子が5名います。平均年齢は26歳くらいですね。

リレー人材に取組んだきっかけは、法人協会からの提案でした。群馬県嬬恋村は夏場の高原キャベツの生産がさかんですが、冬は仕事が無いため連携できる農家を探していて、宮崎は冬も仕事が豊富にあるため連携先として声がかかりスタートしました。

合同会社田野大根代表の川越俊秀さん

2023年12月にミャンマーから5名の特定技能人材がやってきました。そのうちアウンさんとリンさんがリレー人材として今年の7月から第1陣として嬬恋に行き、5ヶ月の研修を終えて11月に宮崎に戻ってきました。

嬬恋ではまだ暗いうちの朝3時から朝採れキャベツの収穫が始まり、夕方まで作業が続くので、こっちよりも忙しいみたいですが、よく頑張ってくれたと思います。

嬬恋村で5ヶ月実習を終えたアウンさんとリンさんにお話しを伺いました。

休憩中にお菓子を食べながら微笑むリンさん(26歳)。会社2階の寮生活では料理を担当。
宮崎の冬は寒いけど慣れましたとアウンさん(26歳)。洗濯と米炊きを担当。
嬬恋村での生活はいかがでしたか?
朝3時に起きて日が昇る前に朝採れキャベツの収穫をして、昼から夕方まで草むしりや植え付けをしたりと忙しかったです。でもその分、お金は貯まります。山の上での生活だったので買い物がちょっと不便でしたね。他の地域からも外国人材が集まっていたので友達は出来ました。
日本語の壁はありましたか
(アウンさん)日本に来たばかりの頃はまだ上手にしゃべれなくて少し困ったりしたこともありましたが、日本語を勉強して、今は大丈夫になりました。
宮崎での暮らしや食生活はどうですか
(アウンさん)会社2階の寮で暮らしています。宮崎の食べ物はなんでも美味しくて好きです。僕はお米を炊くのと洗濯を担当してリンさんが料理が得意なので料理担当をしています。

(リンさん)豚肉や鶏肉を使ってミャンマー料理を作ります。ネットでサッカー観戦したりビールやウィスキーなどのお酒を飲むのも楽しみのひとつです。駅も近いので買い物もすぐに行けるので田野町の暮らしは便利です。
家族の方とは連絡をとっていますか?
ミャンマーのSNS「Viber」を使って家族とはよく連絡をとっています。日本で頑張っているのを喜んでくれています。
これからのことを聞かせてください
日本で働く期間はあと3年です。皆さん優しいのでとても楽しいです。特定技能2号に受かればまだ長く居れるのでそれも目指したいです。
施設利用者さん
この日は甘藷の苗床となるビニールハウスのシート張り作業。10時のおやつタイムは和気あいあいの雰囲気。

合同会社田野大根さんでは8年前から外国人材の受入れに取組み、ベトナムやミャンマーなど多くの外国人材で毎日賑わっています。

住環境での工夫や取り組みはありますか

ビニールハウスの上に登っての作業もてきぱきとこなします。

外国人材を受け入れる上で1番の課題は住居です。住むところが見つからなくて受け入れを諦める農家も多いのですが、宮崎県や宮崎市の取り組みで、公営住宅に外国人材が入居できるよう要件緩和が実施され、入居できるようになりました。
リレー人材の研修生は会社2階の寮に住んでいますが、通年の子達は市営住宅に住んでいます。ベトナムやミャンマーは大家族で育った子が多いので、集団での生活は慣れているみたいですね。地域の方とも馴染んでいるようです。
また、移動手段が少ないので、買い物や通勤用に電動自転車も貸与しています。

今後の展望をお聞かせください。

甘藷の苗用のビニールハウスづくり。快晴が多い12月のうちに準備します。

高齢化などで生産者はどんどん減っていて、新規参入の就農者も少なく、このままでは宮崎の農業が縮小してしまいます。外国人材の存在はありがたく、貴重な戦力になっています。
また、人材派遣会社のウィルテックが日本語教育や滞在中の生活管理などをサポートしれくれるのも大変心強く助かっています。
みんなで連携してよりより受入れ環境づくりをして、帰国後に母国の農業の発展につながる活躍ができるよう、しっかりと技術を教えていきたいですね。